オーストラリアの大学・大学院で勉強をしているけど、卒業後もオーストラリアで働きたいなあ…
と思う学生さんは多いのではないでしょうか?
オーストラリアには卒業生ビザ(485ビザ)というものがあって、オーストラリア大学・大学院で勉強した留学生が卒業後に数年間現地で働けるようになる制度があります。
この卒業生ビザは、それほど複雑なフローではないため、エージェントを通して申請する人もいれば、自分で申請する人も多くいます。私はエージェントを通さず自分で申請し無事取得できたので、今回は卒業生ビザと呼ばれる485ビザの申請方法について、ご紹介したいと思います!
- 卒業生ビザで何ができるの?
- 誰が申請できるの?
- 何を準備しなくちゃいけないの?
卒業生ビザとは
この卒業生ビザとは、Temporary Graduate Visa(485 visa) のことです。
オーストラリアの専門学校・大学・大学院を卒業した人が申請できるビザの種類で、卒業後1年半~4年間フルタイムで働くことも、また他の学校で勉強することもできます(滞在できる期間は大学で勉強した専攻・コースによります)。この期間を有効に活用して、こちらで仕事をみつけて職歴をつんだり、スポンサーとなってくれる雇用主を探したりすることができるので、とても便利なビザです。
肌感覚ですが、私と一緒に勉強していた留学生のうち卒業後帰国した人はほんの少しで、9割以上はこのビザを申請して今もオーストラリアに滞在して働いています。
卒業生ビザの種類
ビザには3つのストリームがあります。
Post-Study Work stream
大学・大学院で2年以上のコースを専攻し、学士・修士・博士を取得した卒業生向けのビザタイプです。学士・修士の場合は2年間、博士の場合は4年間の滞在が可能です。最近、修士の滞在期間を3年まで伸ばす変更を予定している、というニュースがあったため、今後のアップデートに注目です。
Graduate Work stream
Skill Occupation List に記載のある職業に関連した専攻・コースを修了した卒業生が申請可能なビザタイプです。専攻したコースは2年以上である必要があります。申請にあたっては、上記の職業に関連・統括する機関からスキルアセスメントを受ける必要があります。通常卒業後1年半の滞在が可能です。
Second Post-Study Work stream
これは、セカンド卒業生ビザ的位置づけです。対象は、政府が定める”地方(=大都市でない地域)”にある大学キャンパスで学士・修士・博士を取得し、今現在も地方に滞在しており、上記1番のPost-Study Work streamビザを持っている人です。地方の教育・経済に貢献してくれる人には、1~2年卒業生ビザ延長の機会をあげるよという制度です。
ここからは、私が申請・取得した Post-Study Work stream のビザの詳細について説明していきます!
Post-Study Work stream の申請条件
私はマスター(修士)コースを修了したので、Post-Study Work stream でビザを申請しました。公式サイトからの引用となりますが、申請する上での要件としては以下のようなものがあります。
・50歳以下であること
・2011年11月5日以降に初めての学生ビザを取得していること
・現在有効なビザを保有していること
・直近6ヶ月以内に大学のコースを終えていること
・卒業生ビザ期間中をカバーする保険に加入していること
・必要な英語要件を満たしていること
ざっくりとした卒業生ビザ申請ステップ
提出が必要な書類の中には、準備に少し時間がかかるものもあります。手元に必要な書類がない場合は、早めに発行の準備に取り掛かります。申請したいタイミングの約1~2ヶ月程前から確認はしておきたいです。
卒業ビザの申請はすべてオンライン ImmiAccount 上で完結します。学生ビザを自分で申請していた場合は、すでにアカウントは作成済みかと思います。もし、学生ビザをエージェントを通して申請していて手元にアカウント情報がない場合は、
- 留学エージェントに確認してアカウント詳細(ユーザーネーム・パスワード)を入手、もしくは
- 自分で新規アカウントを作る
必要があります。
私は後者で、自分で新規アカウントを作り直しました。
準備した書類をもとに、システムからビザを申請します。
各セクションの詳細を説明すると長くなってしまうので、以下の記事でステップバイステップで説明しています。詳しく知りたい方は見てみてください!
卒業生ビザ申請に必要な書類
Post-Study Work stream ビザ申請にあたって提出が必要な書類は以下の通りでした。
パスポートコピー
パスポートの顔写真ページのコピーがPDFで必要です。
コース修了証明書
大学のコースの最終学期末に大学・大学院からメールで送付されてくる Confirmation of Course Completion という書類の写しがPDFで必要です。この修了書にはコースを開始した日付、終了した日付、そして大学のCRICOS コードが記載されている必要があります。
コースの成績証明書
修了したコースの成績証明書(Academic transcript)が必要です。正式なデジタルコピーが入手可能な場合はそれでもいいですし、紙でしか入手できない場合は、正式なものを大学に発行依頼するなどしてPDFで準備しておきます。
英語力証明
オーストラリアのビザ関係書類としては、IELTS、TOEFL iBT、PTE Academic、OETなどの英語資格が使用可能です。この卒業生ビザを申請するにあたっては、IELTSでいうと Overall 6、各セクション最低5以上というレベルを証明する必要があります。大体英語資格自体は2年間有効だと思うのですが、オーストラリア移民局は申請時から3年以内のスコアを認めています。大学院入学時に求められるスコアよりは低いので、昔取得したスコアが3年以内であればまだ使えます。
民間健康保険加入証明
卒業生ビザ期間中をカバーする保険に加入しなくてはなりません。学生ビザで滞在中はOSHCという保険に加入していたと思うのですが、今回は OVHC(Overseas Visitor Health Cover)に加入します。ほとんどのメジャーな民間保険会社には、要件を満たすOVHCの保険がありますので、Medibank、Bupaなどで検討、購入しましょう。そして、保険会社からメールで送付されるレシートを加入したことの証明として提出する必要があります。
私はBupaのGPカバー付き・ベーシックなオプションに加入しました。
オーストラリア無犯罪証明書
AFP(Australian Federal Police)から発行される、オーストラリアにおける無犯罪証明書が必要になります。オンライン申請でき、証明書は郵送されてきます。大体申請から2週間くらいかかります。
コロナ関連フォーム(New)
こちらは、コロナの影響でオーストラリアに来られず、自国でオンラインでオーストラリアの大学コースを受講していた学生が提出する必要がある書類です。 Form 1545 – COVID-19 Impacted Students と呼ばれるもので、教育機関から発行される必要があるようですので、大学側に確認しましょう。
※これらの書類のほかに、私は Form80(より詳細の個人情報を書き込むフォーム) は提出しませんでしたが、特に問題はありませんでした。
注意点・知っておきたいこと
オーストラリア無犯罪証明書を取得するために必要な書類がある
上記で提出が必要な書類として紹介したオーストラリア無犯罪証明書ですが、それを取得するためにいくつか本人確認書類を準備するが必要があります。パスポート・オーストラリアの運転免許証・バンクカードなどなど基本的なものが既に手元にあれば事足りますが、早めにAFPのサイトで必要な書類を確認しておくのが安心です。
承認までの時間が予測不可能
コロナの影響で、ビザ承認までの所要時間がさらに予測不能になりました。私が申請したのはコロナ直前だったので、申請から1か月程で承認されたのですが、最近卒業した子たちの話を聞くと7か月以上ずっとブリッジングビザでまだ卒業生ビザがおりないという状況の子もいます。書類さえそろっていればおりることがほぼ確実なビザだとは思うのですが、中途半端な状態がしばらく続く可能性があります。
コロナの影響で頻繁に制度の変更がある
本当に頻繁に制度の変更があります!滞在期間の延長・申請要件の変更・コロナでオーストラリア入国できなかった学生へのリプレイスメントビザなどがここ数ヶ月で発表されました。オフィシャルサイトとニュースを随時チェックする必要があります。
まとめ
ということで、今回は卒業生ビザの概要・申請に必要な書類などをまとめてみました。基本的に必要書類を集めてPDFでImmiAccountに提出するだけのシンプルなフローなので、自分で申請することも十分可能なビザだと思います。
永住を考えている場合には、卒業生ビザはオーストラリア企業で働き経験をつめる貴重な期間にもなりますし、必要な資格を取得・スキルを習得するのにも役立つ期間です。
専攻するコースや大学の場所によって滞在できる期間も変わってきますので、コース選択の段階から考えておいても損はないです。
それでは!
※上記はあくまで私が申請した2020年当時の情報に加えて私が個人的に調べた2022年1月時点の情報です。特に最近はコロナの影響でビザが許可する滞在期間や要件など頻繁に変わっていますので、最新の情報は移民局の公式ウェブサイト・ニュースでもしっかり確認していただければと思います!